渋谷のライブハウスで知り合いのバンドが演奏するので、嫁といっしょに見に行くことにした。
その前に、どこかで一杯ひっかけていこうというわで、渋谷駅から足が向かったのは神泉(しんせん)駅方面である。109の前あたりはさすがに人であふれかえっているが、坂の上へ行くにしたがって人が減ってくる。坂をあがっていくと右へ曲がる道がある。円山(まるやま)町方面への道だ。
6時過ぎくらいに歩き始めたが、だんだん陽が落ちてくる。夏の散歩は夕暮れ時がいい。
曲がるところを間違えても、このあたりはむしろ道に迷うくらいのほうが散歩としてはおもしろい。ラブホテル街があり、道は迷路のようにつながっている。油断していると、反対側の坂をおりて松濤(しょうとう)方面まで行ってしまうことがある。これは行き過ぎだ。
円山町はかつて花街であった。歩いていると住居表示が円山町から神泉町に変わる。井の頭線の駅である神泉駅という小さな駅がある。かつて僕は明大前に住んでいたことがある。渋谷から電車に乗って帰るとき、喧噪の渋谷駅を避けて、ここ神泉駅まで歩いてきて、ここから電車に乗ることが多かった。
夕暮れ時から神泉駅周辺を歩くと、焼き鳥を焼くいい匂いが風に漂ってくる。神泉は大人の街だと思う。焼鳥屋や居酒屋などちゃんとした店が多い。
今回お邪魔したのは、神泉駅からすぐの「千羽(せんば)」さんである。看板には<串焼き>とあった。
店内には手書きのメニューが貼られており、3
1年前にご主人が脱サラして始めたお店。ご夫婦でやっていらっしゃる。7年前にこの場所に店を移したとのこと。まずは生ビール。それから、カレー味の煮込み(大)をいただく。しっかりしたカレー味がついていて、モツ特有の臭みを消してくれている。たぶんモツがニガテという人もけっこう食べられるはずだ。
他にも変わった料理がたくさんあった。たとえば「千羽焼き」というメニュー。青い一般的な野菜3種類が入っている。これが実においしいのだが、この3種類の野菜をなんだか当てるというようなちょっとしたゲームがある。当たったからといってなにかもらえるわけではないが、居酒屋の遊びとしてはけっこう楽しいかもしれない。
ちなみに僕と嫁で協力しながら、なんとか3種類当てることができた。