ある方のSNSでボブ・ディランの本棚に佐賀純一の『浅草博徒一代』があったという記述を見て、久しぶりに読みたくなり、我が家の本棚を捜索したけれどなかった。仕方がないので図書館で借りてきた。近所の図書館もいっとき閉鎖されていたけれど、再開しているのでありがたい。
新潮社の文庫。この本は、大正から昭和へかけて、浅草で博徒として生きた伊地知栄治の話を聞き書きしたものだけれど、まさに本人から直接、昔話を聞いているようなかんじで臨場感たっぷり。しかも、わかりやすい。賭場の話などもおもしろいのだけれど、刑務所の話なども興味深い。またこの人の女性遍歴がとにかかくおもしろく、それが軸になっていて、最後のあとがきで、えっ、そういうことだったのかと驚かされた。
本書の舞台を、今度散歩してみたい。