友人の北尾トロの事務所がある関係で西荻窪にはよくでかける。
中央線の他の駅、たとえば隣の荻窪駅などは、駅前は再開発で大きなビルに変わり、路地は消えてしまった。
しかし、ここ西荻窪はまだ古い道が残っていて、そこを歩くと、まさに昭和を歩いている感じがする。

その中でもとくに昭和を感じさせてくれるのが「はつね」というラーメン店である。
この外観を見てほしい。
はつね

いかにも昭和というかんじのたたずまいだ。

以前、北尾トロに連れられて、暖簾をくぐった覚えがある。
もう10年も前だろうか。その頃は、混んではいたが、並ぶほどの店ではなかったように記憶している。
そのとき僕が注文したのは普通のラーメンだったが、北尾トロが頼んだタンメンが実にうまそうだったことを覚えている。

しかし、気がついてみればいつしか、「はつね」には長い行列ができるようになっていた。
訪問するたびに10人以上の並びがあった。
店内の座席数が少ないので、かなり時間がかかりそうだった。
が、この日、午後12時55分に到着。並びは4人。思わずガッツポーズと共に並んだ。
が、やはり甘かった。行列はなかなか進まない。
それどころか、僕の後ろにはどんどん人が並んでいる。
路地を通り過ぎるカップルの女性が行列を見ながら不思議そうになんのお店だか聞いていた。
男性は、「ラーメン店で一位だった」小声で答えると、ふたたび女性が小声で何がおいしいのかと聞き、
男性は「タンメン」と答えていた。
13時17分、やっとに店内へ入った。
スキンヘッドの中年男性が「いらっしゃいませ、おまたせしまして」と頭を下げる。

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